朋の人形

工房朋では、人形は家族のはぐくむ時間の中で生き続けるものだと考えております。
家族のまなざしの中で実際に抱かれ、小さな子どもたちと愉しい時間を共にする――そういう愛され方を心から願って工房朋は人形づくりに励んでまいりました。髪、目、口、肌、衣装、仕草―――これらの表現に朋のスタッフの密かな誇りと大きな願いを感じていただければ幸いです。
市松人形、雛人形、五月人形、洋人形。
なつかしさと、目の前にあるものの新鮮さを同時に備えた作品たちを、ご紹介させていただきます。

市松人形

市松人形は、女の子たちが身近に置いて自分の子供のように可愛がり、四季に合わせて着物を着替えて遊んだ人形です。
関西では「いちまさん」の名前で親しまれておりますが、江戸中期に活躍した人気役者・佐野川市松に似せて作られたことから、市松人形と呼ばれるようになったそうです。
工房朋の人形の多くは市松人形です。64センチの大きなものから20センチほどの小ぶりなものまで、数多くご用意しております。

人形のご紹介はブログでしております。新作人形のご案内はコチラ

雛人形

中世貴族の生活習慣の中から生まれたといわれる雛人形は、時代を下るにつれて次第に一般の人々の暮らしの中に定着していきました。今でも、色々な様式・作り方が守られています。

雛人形には、典雅な大正時代の丸帯を用いたもの、江戸末期から大正時代にかけての細やかな柄ゆきの古裂で仕立てたものの2種類があり、ともに立ち・座りがございます。
時代に即し、一対の人形と屏風、紅白梅、雪洞を飾るという段飾りを必要としないスタイルをご提案しております。

また市松雛(いちまびな)は、普段の日にはお子様の小さな膝に抱かれ、三月の節句には桃の花とともに飾っていただくことを念頭に制作いたしました。伝統の品格をまとう古典様式の雛人形とは異なった、現代の感性とじかにひびき合う作品です。

お客様のお手持ちの帯、思い出の着物でのオリジナルの雛人形の作成も承っております。また、ブログでも随時ご紹介しております。

五月人形

端午の節句に飾られる五月人形は、男の子が男の子らしく元気に成長することを祈る気持ちとともに日本人の生活習慣に根づいてきました。甲冑に身を固め、太刀をたずさえた凛々しい若武者姿は、今も五月人形の定番になっています。

このような伝統を尊重しつつも、私どもの五月人形は、そのみなもととなる子どもの生命感やぬくもりにより大きな価値を求めています。時代を超え永い時間を生きられる五月人形を清々しく元気な男の子の像として作り上げたいと考え研鑽を重ねた結果、市松人形のスタイルを基本に鎧や兜といっしょに飾っていただくオリジナルの作品を完成させることができました。

お客様のお手持ちの帯、思い出の着物を使ったオリジナルの五月人形の制作も承っております。またブログで一体ずつのご案内をしております。

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洋人形

市松人形を作り始めたある日、たくさんの古い着物の中に人形用の着物に仕立てるには向いてないものがあることに気づきました。それらを用いて新しい人形を、と始まったのが工房朋の洋人形制作の第一歩です。

数え切れないほどの試行錯誤を繰り返すと同時に、作り手としても愉しみながらイメージを練っていきました。 思いがけない遊び心と妥協の無い仕上がりを求めて完成した人形は、市松人形よりはかなげな雰囲気をまとった西洋のエッセンスをふくんでいました。

表地には大正時代の厚い縮緬や大島紬を用い、裏地は羽織の裏地をつかった鮮やかな色づかいのドレス。紅絹には薄く綿を入れ、ボリュームを出したアンダースカート、帯地でできたブーツ、それに古いかんざしをネックレスとして……。思わずにっこりしてしまう、驚きと楽しさが隠されています。

もちろんお手許の愛着のある着物、大島紬、羽織の等からドレスを仕立てて、お客様のオリジナルの洋人形をお作りすることもできます。
また、ブログでもご紹介もしておりますので、ぜひご覧ください。

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古裂の着物

着物について

人形の衣装には、古い着物の裂地(きれじ)を厳選して使っております。こういう布のことを古裂(こぎれ)いいます。
古裂はさかのぼると桃山時代以前にも歴史を持っていますが、私どもはとくに江戸時代末から昭和初期の染織物のなかから良いものを選び、仕立て直して人形に着せております。

縮緬や帯地など、全国から私どものもとへ届く古裂は伝統の中で深く愛惜された着物や帯だけが持つなんともいえない色や図柄のものばかりです。古いものでありながら、モダンな感覚で驚かされるものもあります。そのような布を作ってきた方々への尊敬の思いをこめて、新しくデザインし直し、人形たちの衣装として用いることで古裂のすばらしさを現代に伝えてゆければと思っております。

柄について

人形が纏う衣装の柄は、大きなものから本当に細かい柄のものまであります。
よく柄は細かければ細かいほどいいというお声も頂戴しますが、古裂からつくる衣装はすべてが一点もので、私どもの手に届くまでの時間の厚みと偶然性を思えば、大きな柄のものでも見栄えのするよう趣向を凝らし、裁断に工夫をすることは愉しみですらあります。

それぞれの布との出会いを大切に、柄をとり、縫い上げております。

帯、着付けについて

工房朋の人形は着物と帯のみで、基本的に帯揚げ・帯締めはしていません。
それぞれの袖や身頃の柄、生地そのものの風合い、繊細な織りや金糸の輝きといった素材自体の存在を前面に出すため、あえて装飾的なものを省いております。
帯の結びも、出したい柄があるため工夫することが難しいポイントです。また最近ではお客様ご自身での着せ替えをたのしんでいただけるよう、作り帯のご用意も計画しております。
紫の着物には赤の絞り、刺繍の施された豪華な着物にはそれにふさわしいものを、といった点にも、私どものこだわりがあります。

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朋の人形ができるまで

胡粉と膠(にかわ)を一定の温度で何度もまぜ、型に入れて取り出し、半年ほど冷暗所にて乾燥させます。その後丁寧に磨きをかけ、目、鼻、口を切り出し、胡粉を塗りこみます。瞳には義眼用のガラスを使用しています。そして眉毛、頬紅、口紅などの面相をしますと、人形の個性となる様々な表情が生まれてくるのです。

こちらもすべて胡粉と膠でできており、乾燥させた後に磨きをかけ、胡粉を塗りこみ、胴と手足を絹でつなぎ合わせます。立たせたり座らせたり、華奢な人形の姿が自由になります。

幼い子供が走り回るさまは、人工毛では表現できないと考えております。そのため工房朋の人形は、処理が施された人の毛を用いて、丁寧に頭に貼っていきます。ふと風になびく髪の毛は、幼い時分の郷愁を誘います。

着物・帯

工房朋では、着物はすべて江戸中期から昭和初期までにかけての時代物の着物を人形用に仕立てて着付けています。襦袢や裏地も外側に合わせて同時代のものを用いています。帯も時代を合わせ、一本の帯を締めております。 当時の染め、縫い取りの技法は現在においてもなお新鮮で、決して色あせて見えることはありません。

着付け

着付けは工房朋の独自の方法で人形が着物に埋もれてしまわないように、そして着物自身の流れも美しく出るように工夫して着付けております。帯もきれいに模様が出てくるよう計算してあります。

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